白馬の投資物件|表面利回りの中身と実質利回りの計算・確認点
カテゴリー: 市況・投資
今回確認した白馬の宿泊施設向け投資物件2件の利回りは、運営経費を引く前の表面利回りです。不動産広告のルール(表示規約施行規則)は、賃貸用物件の「利回り」を1年間の予定賃料収入÷取得価格とし、公租公課や維持費を引く前の数字と定めています。
2026年11月1日時点で、白馬の宿泊用物件2件が20.06%(想定稼働率50%)と9.51%(1シーズンの実績)を表示していました。
表示利回りだけでは、経費を引いた後の収益は分かりません。運営経費、月別の営業実績、予定する営業を認める許可を確認してください。土地の相場は白馬の地価2026、外国籍の方の購入手続きは外国人の白馬不動産購入ガイドにまとめています。
白馬の投資物件の「利回り」は何を表しているか
根拠は、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第9条第46号です。購入した物件を賃貸する場合の「利回り」は「当該物件の1年間の予定賃料収入の当該物件の取得対価に対する割合」という意味で使い、次の3点を明示するよう定めています。
- 1年間の予定賃料収入の取得価格に対する割合であること
- 予定賃料収入が確実に得られる保証ではないこと
- 公租公課その他の維持費を差し引く前の数字であること
この規定は賃料を前提にしています。宿泊売上は賃料ではありませんが、白馬の宿泊用物件の広告でも同じ「利回り」という言葉が使われています。規約には実質利回りの定義もありません。販売資料に実質利回りがあれば、誰が作成したか、計算式、分母、含めた経費を確認してください。
2026年11月1日に確認した2件の表示内容は次のとおりです。
| 項目 | 物件A(LIFULL HOME’S 不動産投資) | 物件B(ARK NEXT) |
|---|---|---|
| 価格 | 4,800万円 | 5,000万円(税込) |
| 表示利回り | 表面20.06% | 表面9.51% |
| 計算の根拠 | 想定宿泊単価53,500円/泊×想定稼働率50%=想定年間売上 約963万円 | 2025年12月〜2026年4月のスキーシーズン実績 |
| 建物 | 木造、1961年6月築、10LDK(備考欄) | 木造、2022年11月築、2LDK、68.2㎡ |
| 許可の表示 | 「旅館業許可取得済」(掲載者の記載) | 本文に記載なし。タグは「民泊/旅館業可」 |
出典:各物件ページ(toushi.homes.co.jp/bukkendetail/index/4731948/、ark-next.com/bukken-detail/844)、2026年11月1日確認。許可の記載は掲載者によるもので、当社は確認していません。
物件Aの約963万円は、53,500円×50%×360泊で計算した場合と一致します。365泊なら9,763,750円です。掲載ページは年間の想定泊数を明示していません。
同じページには「満室時表面利回り=賃料×12ヶ月/購入価格」という定型の説明もあり、備考欄の稼働率50%とは前提が異なります。物件Bの9.51%を税込価格に対するシーズン売上と読むと約476万円ですが、残り7か月の売上は書かれていません。
表面利回りと実質利回りの計算方法
表面利回りは「年間収入÷物件価格」です。実質利回りは「(年間収入−年間の運営経費)÷(物件価格+購入時の諸費用)」で見積もるのが一般的な方法です。上記の広告ルールは実質利回りを定義していないため、どの経費を引いたのかを売主・仲介会社に確認してください。
次の表は仮の計算例です。数字はすべて説明用の前提で、相場を示すものではありません。
| 項目 | 前提 | 金額・利回り(円・%) |
|---|---|---|
| 物件価格+諸費用 | 5,000万円+350万円 | 53,500,000 |
| 年間売上 | 仮定 | 6,000,000(価格に対して12.0%=表面利回り) |
| 運営経費(売上の40%/50%) | 運営サポート会社1社の目安(後述) | 2,400,000/3,000,000 |
| 運営収支(この計算例) | 売上−運営経費 | 3,600,000/3,000,000 |
| 実質利回り(5,350万円に対して) | 運営収支÷総投資額 | 6.73%/5.61% |
| 税・保険・修繕が別に50万円かかる場合 | 仮定(40〜50%に含まれない場合) | 5.79%/4.67% |
前提:当社による計算。借入返済、所得税・法人税、減価償却、家具・改修費、オーナー自身の利用日は含みません。
40〜50%は公的な数字ではなく、貸別荘の運営サポートを行う1社の見立てです。
VILLARYは白馬村を例にした2026年8月の記事で予約サイトの手数料、清掃、リネン、消耗品、光熱費、除雪、価格調整、予約管理、ゲスト対応をすべて委託すると、年間の宿泊売上の「40〜50%程度」が運営関連費になるとしています(物件の広さ、清掃回数、積雪量、設備、委託範囲で変動)。
この一覧には固定資産税、保険、修繕が挙がっていないため、見積もりに含まれるかを確認してください。
白馬の宿泊需要はどれくらい季節に偏るか
白馬村が宿泊税の税収試算のために2024年に作成した推計では、年間宿泊数の57.3%が12月〜3月に集中し、2月の宿泊数は11月の約7倍です。
| 期間 | 推計宿泊数(泊) | 年間に占める割合 |
|---|---|---|
| 12月〜3月 | 541,000 | 57.3% |
| 4月 | 39,500 | 4.2% |
| 5月〜10月 | 333,600 | 35.4% |
| 11月 | 29,400 | 3.1% |
| 年間 | 943,500 | 100% |
出典:白馬村「白馬村制度の検討について」(2024年10月8日)6.2 税収の試算に用いる月別の宿泊数。2019年のモバイル空間統計をもとに、スキー場統計と村の観光統計の比率で補正した推計で、実際の宿泊数の集計ではありません。割合は当社計算。
訪日外国人に限ると、推計宿泊数の91.5%が12月〜3月です。
これは村全体の推計で、個別の物件の売上を予測するものではありません。特に冬以外の月の稼働率・実際の単価・売上を物件ごとに確認してください。通年で稼働率50%という前提は計算上の置き方にすぎないため、年間平均ではなく月別の予約実績を求めてください。
その物件は、その収入を合法的に得られるか
想定どおりの営業を認める届出や許可があるかを確認します。ここでは住宅宿泊事業法の届出と旅館業法の許可を比較します。両者は営業できる日数の制限が大きく違います。
住宅宿泊事業法の届出(民泊)は、人を宿泊させる日数が年間180日までです。毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までを期間とし、正午から翌日正午までを1日と数えます。事業者が代わってもカウントは引き継がれます。
この上限は宿泊者がいた日数を数えるもので、計算式上の暦の泊数ではありません。360泊×稼働率50%なら宿泊日数は180日で年間の上限いっぱい、365泊なら計算上182.5日となり、上限を超えます。想定の泊数がどの届出・許可にもとづくかを確認してください。
長野県は条例で、白馬村の大字神城・大字北城の指定区域について、12月1日から翌年3月31日まで民泊の実施を制限しています。ただし、事業者が同じ建物・同じ敷地内・隣接する住宅に住んで不在にしない場合や、住宅宿泊管理業者が同様に駐在する場合は、この制限は適用されません。
県の住宅宿泊事業届出状況一覧(2026年8月31日現在)で当社が確認したところ、白馬村の住所の届出は0件でした。同じ日付の県の旅館業オープンデータには、白馬村の施設が1,307件載っています(いずれも行政の一覧の件数で、営業中の施設数そのものではありません)。
旅館業法の許可(旅館業許可)には年間の日数制限がありません。許可は建物ではなく営業者に与えられます。
事業譲渡で既存の営業者の地位を承継するには、譲渡人と譲受人がそろって知事の承認を受ける必要があり(旅館業法 第3条の2)、長野県の案内では期限は「事業譲渡契約の効力が発生する前」です。過ぎると新規の許可が必要になります。
Gemini株式会社も、簡易宿所「500 MILES HAKUBA」についてこの手続きで大町保健所の承認(長野県大町保健所指令8大保第12-16号)を受け、営業者の地位を承継しました。詳しくは白馬の民泊規制と旅館業許可の比較をご覧ください。
東京地裁の判決(令和4年3月29日、大阪府宅地建物取引士センターの弁護士解説)も参考になります。この事案の売主は宅建業者で、裁判所は、想定利回りとその基礎となる収益を説明する場合には、収益に影響しうる法令上の制限も調査・説明する義務を負うと判断しました。
一方で、賃貸を目的とする法人である買主が、表示された表面利回り7.44%をうのみにして売買金額を決め契約した点に落ち度があるとして、4割の過失相殺も認めています。
対象は東京のビルと看板の条例で、宿泊施設の事案ではありません。
利回りから差し引かれる経費
公的な料金が決まっている費目は一部で、多くは建物ごとの見積もりが必要です。
| 費目 | 公的な数字 | 自分の数字の調べ方 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 課税標準額×1.4%。購入価格ではなく村の固定資産税評価額がもと。住宅を旅館・簡易宿所に用途変更すると、土地の住宅用地特例(地方税法第349条の3の2)が外れ、税額が上がることがあります。 | 売主の直近の納税通知書。白馬の固定資産税 |
| 白馬村の宿泊税 | 宿泊者が負担。1人1泊の宿泊料金(素泊まり・税抜き)が6,000円以上の場合に200〜1,900円(2026年6月1日〜2029年5月31日、県税100円を含む)。経営者が徴収し毎月申告 | 白馬村の宿泊税ガイド |
| 上水道・公共下水道 | 白馬村の料金表(水道の基本料金は口径13mmで月1,837円) | 白馬の別荘購入と年間維持費 |
| 浄化槽(設置されている場合) | 公的な数字なし | 業者と法定検査の見積もり |
| 運営・清掃・予約手数料・除雪・暖房 | 公的な数字なし | 見積もり、売主の直近12か月の請求書 |
| 保険・修繕 | 公的な数字なし | 保険の見積もり、建物調査 |
出典:白馬村 固定資産税・宿泊税・水道料金の案内、地方税法第350条第1項、浄化槽法第10条・第11条(2026年10月31日確認)。
宿泊税の納税義務者は宿泊者で、経営者は徴収して村に納入します。宿泊料金の設定と毎月の事務への影響は別に見込んでください。
2026年6月以降、原則として施設ごとに翌月末までに申告・納入するため、申告書の控えは売主が示す宿泊実績の裏付けの一つになります。ただし1人1泊6,000円未満の宿泊は課税されないため、税額には表れません。
白馬の投資物件に申し込む前に確認する資料
Hakuba Landが投資物件の資料を読むときは、計算と前提の両方を確認します。次の資料を求めてください。
- 前提:想定か実績か、対象の月、1棟あたりか1人あたりの単価か、稼働率、年間の泊数
- 予約サイトの12か月分のレポートと、2026年6月以降の宿泊税申告書の控え
- 許可の種類・番号・名義人と、譲渡承認の手続きの時期
- 建物の数字の整合:物件Aは表で37.2㎡、備考で約371㎡と書かれています。登記、建築確認、消防法令適合通知書で確かめてください
- 光熱費・除雪・清掃の1年分の請求書と、運営委託契約を引き継げるか
- 自己利用:自分が泊まる日は売れない日です
住宅を旅館・簡易宿所に用途変更する場合、用途変更する床面積の合計が200㎡を超えると建築確認の手続きが必要です。200㎡以下なら手続きは不要ですが、建築基準関係規定への適合は求められます。
Hakuba Landにできること
Hakuba Landブランドを運営する宅地建物取引業者のGemini株式会社は、購入の申し込み前に、物件の表示利回りを許可・月別の売上・運営経費と比べる作業をお手伝いしています。提携物件には取引態様を表示しています。
改修が必要な場合は、長期提携の建設業者が施工し、当社が調整します。外部オーナー向けの管理サービスは準備中で、現在は提供していません。
開示:Gemini株式会社は写真の「Maykiss」と「500 MILES HAKUBA」を所有しています。
**確認方法:**物件の数字は2026年11月1日に各掲載ページで確認しました。ルールと税率は、不動産の公正競争規約(2025年版)、白馬村の税の資料、長野県の民泊・旅館業のページ、e-Govの住宅宿泊事業法・旅館業法で確認しています。本記事は一般的な情報で、投資・税務・法律の助言ではありません。購入前に専門家へご確認ください。
よくある質問
営業の実績が12か月に満たない物件はどう判断すればよいですか?
存在する記録をすべて出してもらい、休業していた月やオーナーが使っていた月を確認してください。記録のない月は、実績ではなく自分の計算上の仮定として扱います。
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